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基金の設置にあたっては、そのための費用として自治省により91年度から3年間にわたって地方交付税措置(総額9600億円、都道府県2100億円、市町村7500億円)が行われている。
ここで注意すべきは、当該通知の内容が補助金要綱のそれと同じ性格を有するという点であろう。本来、地方自治体は当該通知もいうとおり地方交付税措置からみて「基金の目的と内容等」を「独自に決定」できるわけであり、そのことは文面にもはっきりと明記されている(「地域の実情に応じ、住民の創意と工夫を活かして独自に決定されるもの」)。しかし、あわせて「基金の考え方」が5項目にわたり細かく指示されており、先の3分野16事業の例示も5番目になされている、もちろん、あくまで「想定」事項であるとの断わりも一応書かかれてはいるが、各項目の内容自体はいずれも確定的なものばかりである。すなわち、基金に対する考え方として、?@「果実運用型」?A「民間団体の行う先導的事業」?B「対象事業からの国庫補助事業の除外」?C「財源振替的な運用の禁止」?D「3分野16事業の例示」を挙げているのである3)。
次に、以上のようにして全国一斉に設置された地域福祉基金であるが、形態的にみると設置と運用の主体の設定の違いや基金額の規模、社協との関係づけ等は決して一様ではない。そのことは、都道府県・指定都市の現況にっいて、全国社会福祉協議会が内部資料用としてまとめた「状況調査集計結果」(95年3月末現在、表2参照)からわかる概要をまとめれば、次の5点になる。
?@ 不交付団体も含めて全ての自治体で地域福祉基金かそれに類似する基金が設置されている(なお、今回調査対象とされた58自治体には61の基金があり、記載のない神戸市にも同様の基金が存在する)。?A 設置・運営主体の型別でみると、「行政一行政」のIa型、と「行政−社協(その他)」のIb型をあわせて50基金(82.0%)、受け皿として新設されたタイプの「財団−財団」の?U型が7基金(11.5%)、「社協一社協」の?V型が4基金(6.6%)、「その他−その他」(愛媛県:社会福祉事業団)のlV型が1基金(1.6%)、となっている。
?B 基金総額は3117.99億円、それに占める交付税総額は1617.61億円(51.9%)である。基金額全体に占める交付税割合が8割以上の基金は35基金(57,4%)である、単年度の果実額が1億円以上になる基金は、17基金(27.9%)である。
?C 運営委員会設置の有無については、「有」(23基金、37.7%)のうち、「有a」(行政以外の各種団体の代表から構成されている場合)16基金、「有b」(行政のみ

 

 

 

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